(1型)糖尿病と生きる

1型糖尿病の血糖値管理録。発症14年。合併症はまだない。

1型糖尿病ってこんなに金がかかるぞ!:1型糖尿病の費用 その1【訂正】

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サマリー

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  • 1型糖尿病の治療を診療報酬別に分けると、大きく3つに分けられる。
  • MDI・CSII・SAPの3つである。(MDI+CGMという方法もある)
  • 月に一回通院するとしたら、それぞれの3割負担額は以下のようになる。
    ただし検査費や外来診療費などは省く(これらは3割負担で1,000円を超えないぐらいと考えられる)。
    • MDI = 6,750円(MDI+CGM = 16,650円)
    • CSII = 15,690円
    • SAP = 27,780円
  • 上記にさらにインスリン代がかかる。
    インスリン代は剤形によって大きく異なる。
  • 医療費を抑える公的制度として高額療養費制度や医療費控除がある。*訂正あり

イントロダクション

前回は1型糖尿病のインスリン療法は3本柱なんだ!と書きましたが、それを達成するには幾つかの方法が用意されていることにも触れました。

 

患者はそのうち、ライフスタイルや経済面を考慮してもっともふさわしいやり方を医師と相談して決めていきます。

そこで、今回は、経済面の話題。

先生や看護師さんはあんまりこの手の相談に乗ってくれない(というか知らないんだと思うけど)ことが多いので、自分で調べるか、詳しい病気仲間に頼らざるをえないですよね。

インスリン療法は一体いくらかかるのかまとめてみます。

診療報酬は2年ごとに改定されていますので、新年度から始まる28年版と現行の26年版の違いにも触れていきましょう。

 28年度版の変更点を加筆しました!

そもそも診療報酬って何?

保険診療が適応となっている医療行為には厚生労働省が策定した診療報酬点数が定められています。病院や診療所では医療行為を点数の早見表に対応させて報酬を請求しています。1点=10円で計算します。加入している健康保険(公的保険)によって異なりますが、3割負担ならそれの30%を窓口で支払うことになります。

 

診療報酬の早見表はネット上で簡単に参照できます。いろいろなサイトで公開してますのでご参考に。

平成26年診療報酬点数表 | しろぼんねっと

2016 | 平成28年度 診療報酬点数表Web

1型糖尿病になったら毎月いくらかかるの?

インスリン療法に関連した診療報酬の区分は、

 

◉C101 在宅自己注射指導管理料

◉C150 SMBG加算

◉C152 ポンプ加算

◉C152-2 CGM加算

◉C151 注入器加算・◉C153 注入器用注入針加算

 

などがあります。

ケータイ電話の料金プランを思い浮かべるといいと思います。

まず基本料金があって、通信プランを色々選べるという感じのものです。

それと同じで、まずC101 在宅自己注射指導管理料は基本料金です。これは1型糖尿病患者さんなら原則的に全員に発生するものです。インスリンを必要とする限り発生するものと考えましょう。

そして、SMBGをする回数や、ポンプを利用するかなどに応じて、いろいろ足していくようなイメージです。これらの”足していく”項目の事を”加算”といいます。

 

 月の支払い = 基本料金 + 種々の加算 +その他検査費など

 

それぞれを細かく見てみましょう。

 平成26年度の点数表を中心に見てみましょう。28年度の変更点にも触れます。

◉C101 在宅自己注射指導管理料

1. 複雑な場合

1230点

2. 1以外の場合

イ 月3回以下 100点

ロ 月4回以上 190点

ハ 月8回以上 290点

ニ 月28回以上 810点

インスリン療法で必ず発生する基本料金です。

「1. 複雑な場合」とはインスリンポンプ(CSII)使用時の点数です。

「2. 1以外の場合」は頻回注射療法の点数。1型糖尿病の場合、問答無用で「ニ」になります。

この点数は、外来に訪れた患者さんに注射の方法やどのように自己管理するかという指導を行った時に発生するもので、1診察で1回のみ算定されます。

後述するその他の加算には、2ヶ月分、3ヶ月分を一回の診察にまとめて加算できるものがありますが、その場合でもC101は1回のみ算定されます。

2ヶ月分・3ヶ月分をまとめて出してもらうことの意義は、毎月必ずかかる固定費用、すなわち基本料金と検査費や診療諸費を減ずることができるということに尽きます。これについては後述します。

平成28年度版の変更点:

C101 在宅自己注射指導管理料 | 平成28年診療報酬点数表 | しろぼんねっと

平成28年4月からは、「2.」の点数が変更されました。

1. 複雑な場合

1230点

2. 1以外の場合

イ 月27回以下 650点

ロ 月28回以上 750点

MDI(ペン型注射器の頻回注射)の人は60点(3割負担で180円)の減額になっています。

 

◉C150 SMBG加算

1. 月20回以上 400点

2. 月40回以上 580点

3. 月60回以上 860点

4. 月80回以上 1140点

5. 月100回以上 1320点

6. 月120回以上 1500点

この点数区分に応じて、センサーが何個貰えるかが決まります。

この加算は、「3ヶ月に3回に限り」C101に加算することができると記されています。

これは、『向こう3ヶ月分を、一回の診療でまとめて加算できる』という意味です。平成20年度の改定により現行のものとなりました。

平成19年度以前は、

最大で月80回以上

1ヶ月に1回のみ

だったため、1日4回以上の計測をするために必要な「月120回以上」を出そうとすると病院は赤字になっていたそうです。(本当だろうか。。。)

1型糖尿病患者さんはほぼ全員「6. 120回以上」ではないでしょうか。SMBGを節約しても何もいいことはありません。

「120回以上なら何個もらってもいいのか」というとそうでもありません。当然ですが、120個以上は出せば出すほど病院の持ち出し(赤字)になるわけで、それぞれの病院で最大個数はだいたい決まってます。

外来の看護師さんには遠慮せず、「何個まで持っていっていいのか」とズバッと聞いてしまうのがいいと思います。あからさまに嫌な顔をする担当の人もいますが、ここは妥協するところではありません。

そもそも何も言わなくても病院側で最大数出してくれるといいんです。1日4個でSMBGが賄えるわけないので、4個より多く出す分については持ち出しとなってしまう制度が悪いとしか言えません。

逆に言えば、患者の負担に上限を設けるための施策とも受け取れますが、病院側が損をする仕組みなので巡り巡って患者のためになってません。

台帳を毎日守っている外来の看護師さんも、その看護師さんから1箱でも多くもらおうとする患者さんも日々ストレスとの戦いなわけです。

「以上」という曖昧な表現ではなく、保険で出せる最大量を決めてくれたらいいのです。そしてそれ以上は薬局で入手できると理想的です。 

私のところは、1箱30個入りのセンサーを、最大で6箱・180個まで出してもらえています。

(それでも毎食前後に測ろうとすると足りませんが)

C150は平成28年度も変更されていません。 

◉C152 ポンプ加算

1. プログラム付きシリンジポンプ 2500点

2. 1以外のシリンジポンプ 1500点

 

インスリンポンプ使用者ならば問答無用で「1. プログラム付き」になります。

ただし、SAP使用者はこのC152 ポンプ加算がつかなくなるので注意(C152-2)。

平成24年度から現行の点数となりました。

平成26年度から「2ヶ月に2回に限り」加算できる旨が追加されました。ポンプ使用者も2ヶ月に1回の診療でよくなりました!

平成28年度でも変更されていません。

◉C152-2 CGM加算

1. 2個以下 1320点

2. 4個以下 2640点

3. 5個以上 3300点

 

平成26年度から新たに設けられた区分です。平成28年度も変更ありません。2ヶ月分はまだ認められていませんね。

CGMを外来で使用する時に発生します。

このC152-2の重大な注意事項として、
SAPの場合、C152加算がなくなり、別途3230(単純な場合は2230点だが単純なSAPは存在しない)がポンプ代として加算されます。

私はCSIIの教育入院としてSAPを行ったので、入院費用にまとめてもらえました(この加算はかからなかった)。お試しでSAPを使いたい人は時間が許すなら入院がいいかもしれません(高額療養制度も利用できますし)。

この加算もSMBGのように「5個以上」となってますが、どうも雰囲気的に5個より多く貰えそうにはありません。。。むしろそれより多くもらってる人いらっしゃいます?ぜひコメント下さいまし。。。

あまりにも医療費が高額になりすぎるため運用として、SAPを365日使用するという人は少ないのではないでしょうか。

私は先生と相談して、ある月に1ヶ月分(5個分)のCGMセンサーを出してもらい、それを適宜必要な時に使う、というやり方にしてみました。

ある時は最大までもらい他の月はSAPではなくCSIIのみとして出してもらうというやり方です。

現状として、CGMのトランスミッターの貸し出し費用は実質無料です(このC152-2に含まれていると考えることもできますが)。

ですので、CGMセンサーを出してもらった月だけSAP費用が発生し、そうでない月はCSII費用のみにすることができます。

MiniMed 620G単独でCSIIとして使用出来るため、CGMセンサーの有無SAPかそうでないか料金体系的に使い分けることができるのです。

◉C151 注入器加算・◉C153 注入器用注入針加算

これについては、ぶっちゃけるとよくわかりません。。。

点数表を見ると、適応になってもおかしくないと思うんですが、私の毎月の診療明細には加算されていません。点数としては100-300点ほどです。

で、いくらかかるの?

◎インスリン自己注射

C101 + C150 = 750 + 1500 = 2250

(3割で6,750円)

◎ポンプ

C101 + C150 + C152  = 1230 + 1500 + 2500 = 5230

(3割で15,690円)

◎ペン+CGM

C101 + C150 + C152-2 = 750 + 1500 + 1320-3300

1-2週間 = 3570(3割 10,710円)

3-4週間 = 4890(3割 14,670円)

1ヶ月まるまる = 5550(3割 16,650円)

◎SAP

C101 + C150 + C152-2 = 1230 + 1500 + 3230 + 1320-3300

1-2週間 = 7280(3割 21,840円)

3-4週間 = 8600(3割 25,800円)

1ヶ月まるまる = 9260(3割 27,780円)

 

みっちりやろうとすればするほどお金がかかる!

SAPはとても便利ですが、CGMの初回較正には問答無用に2時間かかり、きっかりその時間のSMBGを強制されるなど、実生活での制約が大きいのが難点です。メーカー推奨では5日ごとにセンサーを取り替えないといけませんし(2週間ぐらいはもつらしいですが)。

何より月3万円という費用は馬鹿にならない気がしますというか、馬鹿にしてます(これに加えてインスリン代もかかりますし)。

しかし、高い医療費を抑える手立てはないわけではありません。

入院には高額療養費制度を。外来には医療費控除を。

小児慢性特定疾患治療研究事業

私の頃(10数年まえ)は18歳まで完全に無料だったように記憶していますが、最近制度が変わったのでしょうか。。。とにかく、18歳未満のお子さんには自己負担を軽減する制度がありますのでご参考にしてください。

 

高額療養費制度・限度額適応認定証

高額療養費制度が平成27年1月から変わります | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省

1ヶ月で払うべき医療費の上限が決められていることはご存知でしたか?この制度はちょいちょい改定され(値上げ方向に。)ていますが、平均的な年収の世帯ではおおよそ8万円が上限となっています。糖尿病の入院は2週間で20万円ほどです。

さらに、この制度は公的保険に適応されるので民間の生命保険とは別物。生命保険と合わせるとほとんど出費なしに(というかむしろ...)治療に専念することができます。

医療費控除

年度末は市役所・区役所が混みますね。

ざっくり言ってしまうと、『年間医療費』− (『上記の高額療養制度や生命保険で給付された金額』+『10万円分』)分を課税所得から減額する制度です。ただし10万円の部分は年収などによって減額される場合があります。

あくまでも所得税を計算するための課税所得から減額されるという点に注意してください。(2016.6.6 コメントをいただきまして掲載情報に誤りがあったことが発覚しましたので削除・修正しています(赤字)。ご指摘下さいましてありがとうございます。)

下記サイトで、簡易的に控除額と減税額(いくら得したか)をシュミレーションできます。

医療費控除簡易計算

 

 

今日の結論

日本の公的保険は素晴らしい!が、満足した治療に専念するためにはお金持ちになろう!(不謹慎です。すみません。)

また、今回は「毎月通う」ということでまとめましたが、2か月または3か月に1度の診察も診療報酬制度上は可能な場合があります。私は毎月通っているので、今回は詳しく書けませんでしたが、機会があればそういう節約術についても触れていきたいと思います。

 

P.S.

インスリン代についてもいつか機会があったらまとめたいと思っています。同じような効き目の薬でも値段が微妙に違っているんです。ペン型注射についても、カートリッジ式とプレフィルドでは値段が違います。ポンプで処方されるバイアル製剤はカートリッジに比べて安くなっています。話すと長くなる。。。また後日続きをやりましょう。。。