(1型)糖尿病と生きる

1型糖尿病の血糖値管理録。発症14年。合併症はまだない。

インスリンポンプサロンに参加してきました

サマリー

  • インスリンポンプサロンに今回はじめて参加させていただいた。
  • インスリンポンプサロンとは、ポンプに興味があるMDIの人・CSIIの人・SAPの人やその家族、医師そして医療従事者が一堂に会して情報交換する場。
  • 参加される先生・ご講演なさる先生には、ご自身も1型の方が多い。
  • グループディスカッションが熱い!患者や医療従事者を交えた討論が、双方にとってとても勉強になる。
  • 次回は9月開催予定。そのころには、またなにか新しい治療ができるようになっているかも?
  • わたしが払った旅費はSAP一ヶ月分よりかかってしまった(;´Д`A
  • 本記事は、インスリンポンプサロン参加者としての感想をまとめたものです。詳細な医療情報は専門機関でご確認ください。

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インスリンポンプサロンとは

インスリンポンプサロン大阪は年に二回開かれている、ポンプ啓蒙集会です。患者や家族、友人はもちろん、医者・看護師をはじめとして多くの医療従事者も参加しています。大阪周辺はもちろん、東京からの参加者も多く、「大阪」と銘打ってますが、全国的な集会になっています。参加費は無料。

2013年から始まり、年に2回開催されています。今回で5回目です。

参加されている先生や、ご講演なさる先生にはご自身も1型糖尿病の先生が多く、ご自身の体験を交えた応用的なお話を拝聴できる貴重な機会になっています。

カーボカウント・CSII・CGMの3Cの実践は、東日本よりも西日本の方が活発で、多くのベテラン患者さんと意見交換できるという点もこの集会の魅力になっています。

南昌江先生のご講演

ポンプのメリット

基礎・追加インスリンの量を時間ごとに細かく調整できる。

基礎インスリンとは、食事に関係なく、生きていくのに必要なインスリン量のこと。
ポンプを使うと夜間・明け方・日中・運動時などの変動に合わせて調整できる。

追加インスリンとは、食事のときに必要なインスリン量のこと。
投与量を一回で一気に注入したり、設定した時間をかけてゆっくり注入したり(スクエア)、両者を組み合わせたり(デュアル)できる。
また、ポンプにあらかじめパラメータを入れておくことで、カーボカウンティングの計算が簡単にできる。

注射の回数を減らすことができる。

注入セットや針の交換は2-3日ごとで済む。1日4回の注射とは大違い。

人目を気にせずインスリンを注入できる。

いつでもどこでもボタンを押すだけ。

わたし個人的にはポンプのメリットはここにあると思っています。

基礎量をリアルタイムに調整できる。

ペン型では、基礎量は1日1回から2回の注射の決め打ちです。打ってしまってから変更することはできません。

しかし、ポンプでは途中で注入をやめることができます。低血糖(傾向)のときに基礎インスリンを止めることで重症化を防ぎ、復帰が早くなることがわかっているそうです。

ボーラスウィザードによって正確なカーボカウンティングが実現される。

残存インスリンの考え方によって、打ちすぎを防ぎます。

残存インスリンとは、体の中にどれだけのインスリンが残っているかを教えてくれる機能です。

「あと何単位残っているか」がわかるので、現時点の血糖値と、残存インスリン量と、インスリン効果値から、「あと何mg/dL分下がるな」ということがわかりやすくなっています。

先生は、高血糖の補正のための追加インスリンも、ボーラスウィザードを使うことをお勧めしていました。

会場でも、ボーラスウィザードを使っている人は少数のようで(食わず嫌いでめんどうくさがっている人が多いようでした笑)、感嘆の声が上がっていました。

 

ポンプのデメリット

デメリットとしては、

頻回のSMBGCGMが必要、

カーボカウンティングの知識が必要、

針の交換は煩雑、

チューブ閉塞トラブルが起こりうる、

針の跡が残りやすい、

テープかぶれが起こりうる、

ポンプは24時間携帯する必要があり洋服のどこに装着するかが大変、

などがあげられるようです。

 

その他、SAPのすばらしさについてや、ご自身でSAPをつかってフルマラソンに参加されたこと、よくある失敗談(これはポンプ導入時にメーカーが説明してくれるのと同じでした)などを紹介していただきました。

 

グループディスカッションに参加して

グループディスカッションのセッションでは、8人ほどのグループに分かれ、進行役の医師のもと、患者さんや医療従事者の方とポンプの感想、悩み、工夫などを話し合いました。

テープかぶれの対処法

おめかししたときのポンプ

アラームをどうするか

SAPにしてSMBGは減らせるか

宴会のときはどうしてるか

1型といえど食事療法は大事か?

低GI食品に助けられた話

今後の3C関連の話:カーボだけじゃ不十分。蛋白質・脂質も。

など、あっというまの90分でした。

 

個人的に驚きだったのは、SMBGを1日8回やってる人がいたこと。そんなにセンサーを出してもらえるのか!なっていい病院なんだ!

進行役の先生のお話では、小児内分泌科のほうが、成人の内科よりも手厚い傾向にあるとのこと。うーん。

もう一つ驚きは、ウィザードをつかっている人が少なかったこと。関西の人達は自立心が強いのか、自己流が多かった印象です。笑。

ウィザードは便利な機能なので、ぜひぜひ使いたいですね。高い医療費をかけているのですから、使える機能は利用しないともったいないです。

 

最後に

次回は9月末に開催予定とのこと。そのころにはなにやらあたらしい治療(薬?機器?)がでているとかいないとか。wktk

 

1型糖尿病ということで、小児の参加も多かったように感じました。

小児は小児慢性疾患として医療費が減免されます。個人的にはぜひ小児にこそSAPを利用してほしいと思いました。1型糖尿病患者が、ハンディを補填して健康な日常を過ごすための、現時点での唯一の方法がSAPだと思うのです。

低血糖を限りなく0にして、好きなおやつを食べて、友達と遊んで、勉強に邁進するために必要なことはなんだと思いますか?

リアルタイムでの血糖値の管理と、きめ細かい基礎インスリンの調節、そして簡単にできるカーボカウンティングの実践が必要なのは明白です。

そのための方法はSAPとして実現しているのです。

私の暮らす都道府県でも、ひとりでも多くの子供達がこの治療法にトライできるようになることを願っています。

 

しかし、この技術はまだまだ未成熟です。CGMは不安定で信頼できないため必ずSMBGが必要です。CGMの結果を患者が取り出すこともできません。注入キットの差し替え頻度も多すぎるように感じます。体が穴だらけになってしまいます。これらの問題をすべて一度に解決するのは困難ですが、新しい治療法はいつも海外が先行しています。日本では、使用できる治療法の種類の面でも、そのコストの面でもまだまだ後手後手です。医療の課題は山積しています。患者自身も治療に積極的に参画していくことで、医療をより良い方向へ推し進められるのだと信じています。これからも患者会・勉強会に積極的に参加していきたいと思います。